令和7年5月14日、首相官邸において「第34回 新しい資本主義実現会議」が開催されました。
この日の会議では、「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」の施策パッケージ案などについて議論が行われました。
議長である石破総理は、この日の議論を踏まえ、次のように述べました。
●「『賃上げこそが成長戦略の要』である。2029年度までの5年間で、日本経済全体で持続的、安定的な物価上昇の下、実質賃金で1パーセント程度の上昇を、賃上げの新たな水準であるとの社会通念の規範として我が国に定着させていく。
そのため、『賃金向上推進5か年計画』を取りまとめ、以下のように、我が国の雇用の7割を占める中小企業・小規模事業者の経営変革の後押しと賃上げ環境の整備に政策資源を総動員する。
●第1 中小企業・小規模事業者の生産性向上
中小企業の生産性向上投資に向けて、今後5年間で60兆円の投資を官民の新たな目標として定め、十分な事業規模で複数年にわたる支援を行う。
●第2 官公需も含めた価格転嫁、取引適正化
自治体に対し、重点支援地方交付金の徹底的な活用を促すとともに、自治体の低入札価格調査制度、最低制限価格制度の導入状況、国が一覧性を持って可視化し、工事契約以外にも制度の導入を拡大する。
下請法を『中小受託取引適正化法』へと改めるとともに、業所管省庁も含む執行体制の強化、違反企業への対応厳格化等を進める。
●第3 事業継承・M&A(買収と合併)の経営基盤の強化
事業承継・引継ぎ支援センターの体制強化や地域金融機関によるコンサルティングを促進する。M&Aアドバイザーに関する新たな資格制度やM&A後に同意事項に反した場合に買戻し等を可能とする措置を検討する。
●第4 地域で活躍する人材の育成と処遇改善
デジタル技術等のリ・スキリングや処遇改善を通じて現場で頑張っている方々(アドバンスト・エッセンシャルワーカーの皆様方)のスキル向上支援を行う。
医療・介護・保育・福祉等の現場での公定価格の引上げについては、これまでの対応では現場で働く職員の十分な賃上げにつながっていないとの指摘があるため、今年の春季労使交渉における力強い賃上げの実現や、昨今の物価上昇による影響等を踏まえながら、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう的確な対応を行う。
●最低賃金について
政労使の意見交換を今月下旬に開催することとし、本日頂いた意見も踏まえ、施策パッケージと最低賃金の引上げ方針を議論する。
●本日のさまざまな意見を踏まえた上で、6月の実行計画の取りまとめに向けて、施策の具体化を進める。
今後の動向に注目です。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<第34回 新しい資本主義実現会議>
・首相コメント:https://www.kantei.go.jp/jp/103/actions/202505/14shihon.html
・会議資料:https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai34/gijisidai.html