厚生労働省は、全企業に対し、40歳となった従業員全員に
介護休業などの支援制度の周知を義務付ける方針を固めました!
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2025年に団塊の世代が全員75歳以上に。大介護時代は目前に迫っています
少子高齢化の進行を背景に、介護を抱えながら働く方々が増えています。
2023年7月21日に総務省が公表した「令和4年就業構造基本調査」結果によると、過去1年間に家族の介護や看護を理由に離職した人は10万6,000人。
経済産業省は、ビジネスケアラーが2030年には約318万人、離職や労働生産性の低下などによる経済損失額は9.1兆円と推計しており、仕事と介護の両立支援に関する企業向けガイドラインの策定等や、介護にかかわる社会機運の醸成に取り組むと発表しました。
また、厚生労働省では、2023年11月、介護休業などの支援制度を知らないまま介護離職に至るケースが多いことを踏まえ、介護保険料の支払いが始まる40歳となった従業員全員に介護休業などの支援制度を周知することをすべての企業に義務づける方針を決定しました。
仕事と介護の両立支援環境は整っていますか?
介護は誰もが直面する可能性のある問題です。
しかし、いざ直面したとき、離職せず働き続けていくには、個人の力だけでは難しく、職場や上司の理解、会社の両立支援体制等が必要不可欠になります。
次のようなデータをご存じでしょうか。
- 働きながら介護を担っている人の約8割が40~60歳代
- 40~50代正社員の約4割が「今後5年間で親の介護の可能性がある」
- 介護をしながら、今の会社で仕事を「続けられないと思う」「続けられるかわからない」で77.4%
出典:厚生労働省「企業における仕事と介護の両立支援実践マニュアル」
ここからわかるのは、介護をする人の多くが、中堅社員、管理職等、職場の中心的役割を担う世代だということです。
特に中小企業や労働集約型事業を行う企業、中堅層の厚い企業では、こういった貴重な人材を介護離職で失うことは、業績に大きく影響する可能性もあるため、できるだけ避けたいと考えていらっしゃるのではないでしょうか。
介護離職者を対象にした調査ではこのようなデータもあります。
- 介護離職経験者が介護を機に仕事を辞めた理由の第1位が「仕事と介護の両立が難しい職場だったため」59.4%
- 介護を始めてから、介護のための勤務先の制度の利用状況は「利用していない」が最も多い
- 勤務先制度を利用しなかった理由は「介護休業制度等の両立支援制度が整備されていなかったため」が最も多い
出典:厚生労働省「仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業(令和元年度)」
つまり、介護休業や介護休暇制度など法定の制度を単に導入しただけでは、介護離職は止めることができず、いかに利用しやすくするかがカギなのです。
では、どうすれば、「介護があっても働き続けられる職場」を実現できるのでしょうか。
本特集では、会社の必須対策となった「仕事と介護の両立支援」について、さまざまな角度から取り上げていきます。
【人事担当者向け】仕事と介護の両立支援体制チェックリスト<会員限定>
全企業に義務化予定の項目を盛り込んだ仕事と介護の両立支援体制チェックリストです。全項目のうち、「必須」「義務化予定」の項目について、対応ができていない場合は対応が急務です。
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簡単チェック後は、内容をヒントに、家族と介護について話し合ったり、会社の支援制度や相談窓口を調べたり、介護スタート後の働き方をイメージしてみるなど、できるところから取り組んでいきましょう。
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仕事と介護の両立支援のポイント
介護に関する知識や、真に実のある両立支援体制づくり等について、介護にかかわる各専門家によるコラムを順次掲載していきます。
仕事と介護の両立支援の専門家:一般社団法人日本顧問介護士協会 代表理事 石間洋美氏コラム
第1回:ある日突然やってくる「介護」。介護はこんな感じで始まる
第2回:働く人の誰もが介護者となり得る中、「何」を備えるのか?
第3回:介護が必要になる原因として上位に挙げられる「認知症」。どう向き合うべきか?
第4回:在宅生活or施設入居、どちらを選ぶ? 短期間で決断に迫られる「介護」
第6回:「介護のある生活」がスタート~何から始めるべきか~(前編)
第7回:「介護のある生活」がスタート~何から始めるべきか~(後編)
第8回:在宅介護?施設介護?どちらを選択する―在宅介護の特長、メリット・デメリット―
第9回:在宅介護?施設介護?どちらを選択する―施設介護の特長、メリット・デメリット―
第10回:仕事と介護を両立する上で欠かせない相棒「ケアマネジャー」の探し方
第11回:本人・家族の状況や希望をしっかりと伝えられる?「ケアマネジャー」との上手な付き合い方
第13回:実際に社員が利用できる「介護関連の支援制度」の活用と実態
第18回:認知症の方の気持ち―家族・周囲はどう接したらいいか—
第19回働き盛りの世代でも発症する「若年性認知症」とは? NEW!
人事担当者が知っておきたい介護の重要ワード
仕事と介護の両立支援体制づくりを進めていく上で、人事担当者が最低限押さえておきたい介護の用語をピックアップして紹介します。
要介護状態
育児・介護休業法に定める「要介護状態」とは、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり「常時介護を必要とする状態」のことをいい、介護保険制度の要介護認定を受けていなくても、介護休業は利用できます。
常時介護を必要とする状態については、判断基準が定められており、座位保持、歩行、移乗(ベッドと車いす、車いすと便座の間などの乗り移りの動作)、水分・食事摂取、排せつ、意思の伝達など全12項目の状態から判断することになります。ただし、基準にとらわれて、介護休業の取得が制限されないように柔軟に運用することが望ましいとされています。
地域包括支援センター
介護・福祉に関する、地域の「よろず相談所」。
保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーといった専門知識を持った職員が、住民の健康の保持および生活の安定のために必要な援助を行っており、介護保険の申請窓口も担っています。各市町村が設置主体となり、中学校区(人口2~3万人)に1か所設置されています。
要介護認定(要支援認定)
介護保険制度では、寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態(要介護状態)になった場合や、日常生活の基本的な動作はほぼ自分で行うことができるが、家事や身支度等に支援が必要な状態(要支援状態)になった場合に、介護の必要度合いに応じた介護サービスを受けることができます。 この要介護状態や要支援状態にあるかどうかの判定を行うのが要介護認定(要支援認定)で、非該当、要支援1・2、要介護1~5までの区分があります。市区町村が実施しています。
ケアマネジャー(介護支援専門員)
要介護度が判定されたのち、施設への入所ではなく、在宅介護を希望する場合の相談先がケアマネジャーです。ケアマネジャーは介護を必要としている人の状況や家族がどのようなことに困っているのかを把握し、必要なサービス(訪問介護、デイサービスなど)を受けられるように、ケアプラン(介護サービス計画書)を作成し、市町村・サービス事業者・施設等との連絡調整を行う人をいいます。要介護者や要支援者が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識・技術を有するものとして、介護支援専門員証の交付を受けています。
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