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アスベスト被害 最高裁が国の責任と初の判断

 大阪・泉南地域のアスベスト(石綿)工場で働き、肺がんや中皮腫などの健康被害を受けた元従業員と遺族ら計89人が、国を訴えていた裁判で、最高裁第一小法廷(白木勇裁判長)は9日、工場に排気装置の設置を義務づける国の規制が遅かったと判断し、およそ3億3千万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。アスベストによる健康被害で最高裁が国の責任を認めたのは初めてです。

 原告は1、2陣に分かれて集団提訴していました。1審はいずれも勝訴しましたが、2審・大阪高裁で国の責任の有無について判断が分かれ、双方が上告していました。

 9日の判決で、最高裁判所第1小法廷の白木勇裁判長は「国の規制権限は技術の進歩や医学の知識に合わせて適切に行使されるべきだ」と指摘しました。そのうえで最も有効な対策とされる排気装置の設置を1971年になって義務づけたことについて「国は罰則のない行政指導で排気装置の設置を促した1958年にはアスベストの被害が深刻なことがわかっていたはずで、その時点で規制権限を行使せず設置を義務づけなかったのは違法だ」と判断して、国の規制が遅かったと結論づけました。そして2陣訴訟の原告のうち54人について、およそ3億3千万円の賠償を国に命じたほか、1陣訴訟の原告28人について、2審の敗訴を取り消し、賠償額を算定するよう2審に命じました。この結果、各地の同種訴訟に影響を与え、国の賠償額は今後さらに増える見通しです。