HOME 専門家の知恵 メンタルヘルス・ハラスメント 【専門家の知恵】上司から理不尽に怒られた時の対処方法は「冷静になって自分と相手を観察する」こと

【専門家の知恵】上司から理不尽に怒られた時の対処方法は「冷静になって自分と相手を観察する」こと

上司から理不尽に怒られた時の対処方法は「冷静になって自分と相手を観察する」こと

<メンタルサポートろうむ 李 怜香/PSR会員>

 

 上司との関係がうまくいかないと、職場は憂鬱な場と化してしまう。怒りっぽい上司、特に「なぜこんなことで、こんなに腹を立てるんだろう?」と理解できない怒り方をする上司は、部下にとって最大の難物となる。もちろん暴言などの場合は、パワーハラスメントとして社内の相談窓口などに申告すべきだ。だが、そこまではいかないけれど、上司の態度に困っている……というあなたには、こんな対処方法があることを知ってもらいたい。

 

◆「頭が真っ白になる自分」から「観察する自分」へ

 人間誰しも、強い言葉で非難されると平静ではいられない。しかもその相手が日頃から「苦手だな」と思っている人だと、頭が真っ白になって何もできなくなってしまったりする。

 上司に怒られて、ただオロオロと「すみません」と繰り返したり、黙り込んでしまったりして、相手の怒りに拍車をかけてしまった……そんな経験がある人も多いだろう。

 そんな繰り返しから抜け出したいと考えるのであれば、ひとつ方法がある。まず、上司に怒られたときのことを思い出してみていただきたい。上司の赤くなった顔、荒い語気、「お前がすべて悪いんだ」と言わんばかりの言葉……。思い出しただけでも、動悸がしてきたり、いやな気持ちになったりするはずだ。

 次に、怒っている上司と怒られている自分を、少し離れた場所から観察してみよう。部屋の隅、斜め上あたりにあるビデオカメラが、上司と自分の姿を撮影していると想像してみるのだ。すると不思議と、ムカムカするいやな気持が遠のき、そのできごと自体を、前より冷静に見られるようになるはずだ。

 怒られていることにとらわれて悩んでいると、相手の怒りの感情や、何もできないでいる情けない自分にフォーカスが当たってしまい、相手の言っていることを冷静に考えられなくなる。そこから抜け出すため、「頭が真っ白で何もできない自分」から「第三者としてできごとを観察し、冷静に判断できる自分」にスイッチしよう。

 これができるようになると、怒られている最中であっても、相手の感情に巻き込まれにくくなる。つまり、第三者的な少し引いた視点から相手の言っていることを理解し、どう対処すべきかを考えられるのだ。

 

◆怒りの背後にある上司の「べき」を見出す

 第三者的な視点を獲得したら、次は何を観察すればよいのだろうか。

 実は、怒りっぽい人は往々にして、「◯◯すべき」、「このやり方でやるべき」という自分なりの価値観にとらわれている。このタイプの上司は、別のやり方でやっている部下を見るとイライラし、「なぜ自分の言うことが聞けないのだ」、「真面目にやれ」、「そんなこともできないのか」と怒りを爆発させてしまう。このような強い怒りになってしまうのは、その背景に「自分の価値観を否定された」という感情があるせいだ。

 それならば、まず上司の「べき」が何かを理解することが、この不幸なやりとりから抜け出す近道ではないだろうか。この「べき」を探す際に大きな助けとなるのは、上司が怒っていない時によく言っていることだ。いやな上司のことを観察するなど気が進まないかも知れないが、これによって「べき」を理解することができれば、後がグッと楽になる。

 上司の「べき」が分かったら、次のように対処しよう。

 まず、言い方に問題があったとしても、内容がもっともであった部分は共感してみせ、「次から自分も改めます」と言うようにしよう。言い方に問題があるのも十分にハラスメントなのだが、ここでは抗議しないという前提の話である。

 言っている内容があくまでもその上司の価値観であって、第三者的に見ても理不尽な内容であると感じたら、そのようにできない理由を論理的に伝えるようにしよう。

 言い方どころか、人格否定、暴言とも言えるひどい言葉があったとすれば、それはもちろん抗議してよい。「抗議なんてとてもじゃないけどムリ」というのであれば、そこでは沈黙してやり過ごし、パワハラとして適切な窓口に申告すべきだ。

 このように、相手から言われた内容を分解して、それに応じた対処法を考えることもできる。いずれにしても、まずは“冷静に観察する自分”を手に入れることが必要だ。

 

 

プロフィール

psr ri
社会保険労務士、産業カウンセラー、セクハラ・パワハラ防止コンサルタント 李 怜香
メンタルサポートろうむ(http://yhlee.org)代表
岐阜県生まれ。早稲田大学卒業。職場のコミュニケーション、メンタルヘルス、ハラスメント防止について、ご相談、研修を承ります。15年以上の経験で、法律と心理、双方から中小企業をサポートしています。

 

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