HOME 専門家の知恵 就業規則・労務問題 【専門家の知恵】社会的に評価される安全衛生対策とは

【専門家の知恵】社会的に評価される安全衛生対策とは

<労働安全コンサルタント 野間 義広>

 「労働者の安全衛生対策の取組が遅れている中小事業者等に対する支援」は、「第14次労働災害防止計画に向けた論点(厚生労働省労働基準局安全衛生部計画課)」によりますと、”企業経営の観点からも事業者にとって安全衛生対策がプラスになる”といったことを周知するなど、事業者が自発的・主体的に取り組むための環境整備を進めることが必要とし、そのために国は、企業・労働者の意識啓発や取組促進のための支援を行うことを提唱しています。そのポイントは以下のとおりとなります。 

①安全衛生対策に取り組む企業が社会的に評価され、主体的に安全衛生対策に取り組むための環境整備

②更なる対策強化のため、災害情報の分析機能の強化及び分析結果の効果的な周知

③労働安全衛生におけるDXの推進

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 「第14次労働災害防止計画に向けた論点(厚生労働省労働基準局安全衛生部計画課)」より引用

 

労働者の協力を得て企業が自発的に安全衛生対策に取り組むための意識啓発について

 第3次産業、中小事業者では労働災害防止のための対策やメンタルヘルスへの取組に係る実施の必要性の認識は必ずしも高くないと考えられます。このように事業場等における安全衛生対策に取り組む優先順位が低くなっていることが災害増加の要因となっているのではないかと考えられます。

 なお、労働者の安全衛生は何よりも優先すべきであるが、経営的メリットを感じないと行政指導を受けたときだけ取り組むなど一過性になりがちであることからも、災害防止等を進めるためには、安全衛生対策に必ずしも関心が高くなく、取組の遅れている中小企業、第3次産業の事業者に対して、単に法令等の内容を説明した取組を求めるだけでなく、安全衛生対策に取り組むことが事業者にとって経営面や人材確保の観点からもプラスとなることを説明するなど、安全衛生対策の実施を促す取組が不可欠です。

 また、従来の業種や働き方等に応じた安全衛生対策に加えて、安全衛生対策に取り組む企業が社会的に評価され、主体的に安全衛生対策に取り組むための働きかけや環境整備を行うことに対する、行政の取組み例は以下の通りです。

・健康経営やSDGsなどと連携して、安全衛生対策に取り組む企業が社会的に評価される環境の整備

・安全衛生対策が経営に及ぼす影響の周知(安全衛生対策の経営的メリット、労働災害時の損失)

・業種・業態に応じて効果の高い具体的な対策の提示(災害分析を強化し、エビデンスに基づく災害防止効果の説明)

・安全衛生分野のDXの推進(デジタル技術を活用した効果的・効率的な安全衛生活動)

・中小事業者に対するニーズに応じた支援

 (以下参考)

「健康経営・健康投資とは」

 健康経営とは、従業員等の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、 健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること。

 また健康投資とは、健康経営の考え方に基づいた具体的な取組。企業が経営理念に基づき、従業員の健康保持・増進に取り組むことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の 組織の活性化をもたらし、結果的に 業績向上や組織としての価値向上へ繋がることが期待 される。

「健康経営の取組メリット」

 ・ビジネスパートナーからの信頼

 ・金融機関・投資家からの信用・評価

 ・商品・サービスに対する選好等

                                        以上

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野間 義広(のま よしひろ)   
労働安全コンサルタント(化−第591号) 

製造業や建設業などにおける危険有害作業経験と管理経験を併せ持ち、歯に衣着せぬコンサルティングで多方面から信頼を得ている安全衛生専門家。安全診断業務のほか、衛生推進者養成講習や各種特別教育などの安全衛生教育講師、業務支援コンテンツ制作やVR教育の普及に取り組んでいる。日本労働安全衛生コンサルタント会会員。 

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感染症は、我々人間の体内に侵入した病原微生物(ウイルス、細菌、カビ、原虫など)が定着、増殖することで起こる。従って、常に感染のリスクに晒されていると認識しなければならない。特に、環境破壊に伴って生態系を含む生物多様性が急速に劣化し、人間社会に跳ね返ってきているとも言われている。ウイルスの本来の生息地を我々人間が壊してきた結果だとも言えよう。これからも、ウイルス起源のパンデミックを覚悟しておかねばならない。ウイルスと闘って勝負を競う発想を止め、自然界での共生をコンセンサスとしなければならないだろう。
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