不当労働行為とは?使用者とは?

Q.労働組合に対して、どのような行為が不当労働行為にあたるのでしょうか。
また、労働組合法にいう使用者とは、労働基準法に規定する使用者と違うのでしょうか。
A.労働組合法第7条に規定する行為が不当労働行為にあたり、使用者とは、労働基準法に規定する使用者と相違ありません。
解説

 不当労働行為については、労働組合に対する使用者側からの禁止行為として、労働組合法第7条で規定しています。
主な内容は以下の通りです。
ア)労働組合の組合員であること、労働組合への加入、結成、労働組合の正当な活動等の行為に対して
  解雇等の不利益な取り扱いを行うこと。
イ)労働組合への不加入や労働組合から脱退することを雇用条件とすること。
ウ)雇用する労働者代表との団体交渉を正当な理由なく拒むこと。
エ)労働者が組合を結成、運営することを支配し、介入すること。
オ)労働組合の運営のための経費について、経理上の援助を与えること

 使用者側による上記の行為は、不当労働行為として禁止されています(一部、例外規定あり)。しかし、労働組合法そのものには不当労働行為に対する罰則規定はありません。不当労働行為に当たるか否かについては、労働委員会への申し立てにより判断され、不当労働行為に当たると判断されれば、労働委員会での調整(あっせん・調停・仲裁)を行い、調整が不調に終われば民事での損害賠償請求となります。
 使用者については、労働組合法第1条目的条文に「この法律は、労働者が使用者との交渉において対等の立場に・・・」と規定されており、労働者の相手方は使用者です。具体的には、労働基準法第10条に規定する「使用者」と考えてよいでしょう。

 労働基準法第10条による「使用者」の定義は以下の通りです。

「この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。」

 この規定には「事業主」、「事業の経営担当者」、「労働者に関する事項について事業主のために行為をする者」の3人が登場します。事業主とは法人そのものを指し、事業の経営担当者とは社長を含めた役員等が該当します。労働者に関する事項について事業主のために行為をする者とは、幅広い概念ですが、人事や労務管理等の事項について一定の権限を持つ人事部長や総務部長等のようなイメージです。従って、一定の権限を有せず、単に上司命令の伝達者に過ぎない者は、使用者とはみなされません(昭和22.9.13 基発17号)。名称にとらわれず、実態で判断します。

 このことから、相手方である使用者は一定の権限を有していなければなりません。団体交渉の場において「上に報告して次回お答え致します。」との回答しか出せないような人は、使用者とはみなされません(団体交渉の席に着くのは構いません)。
 「労働者」の観点でいえば、労働基準法に規定する労働者は「雇用契約を締結し使用従属関係にある状態」にある者です。しかし、労働組合法に規定する労働者は「失業者も含まれる」とされており、退職した労働者(雇用契約が切れた状態)も含みます。「退職した社員による合同労組の団交の申し入れ」にも、使用者として対応しなければなりません。

コンサルタントからのアドバイス

 労働組合に対しては、企業内労働組合であれば使用者側も事前の対応を取りやすいのですが、企業内労働組合がない場合はノウハウがないことが多いでしょう。ある日突然、「合同労組から団体交渉の申し入れ」等が現実として発生しています。慌てずに、一旦立ち止まって「どうするべきか」を考えなければなりません。
<社会保険労務士 PSR正会員 笹生裕康>