HOME Q&A 日々の業務の疑問をかいけつ Q&A 就業規則・労務問題 退職・解雇 仕事のミスが多い社員から退職届が提出されました。会社としては、改善の余地があるため慰留を考えていたのですが、出社しないまま2週間経過後に連絡がとれなくなりました。この場合、退職金は支給しなければならないのでしょうか。

仕事のミスが多い社員から退職届が提出されました。会社としては、改善の余地があるため慰留を考えていたのですが、出社しないまま2週間経過後に連絡がとれなくなりました。この場合、退職金は支給しなければならないのでしょうか。

Q.仕事のミスが多い社員から退職届が提出されました。会社としては、改善の余地があるため慰留を考えていたのですが、出社しないまま2週間経過後に連絡がとれなくなりました。
   この場合、退職金は支給しなければならないのでしょうか。
A.一定の条件の下に、不支給とすることも有効と考えられます。
解説

 使用者からの一方的な解雇については法律上の厳格な規制がありますが、労働者からの一方的な退職については有期労働契約を除いて法律の規制はありません。
 先ずは、退職届が有効か無効かを判断してみます。 労働者からの退職の申し入れは、「辞めます」という意思表示のみで成立します。判例でも、「労働者は一方的な申し入れにより雇用関係を終了させることが出来る。使用者の承諾を何ら必要とするものではない。承諾の旨の労働慣行があったとしても、民法第627条第1項後段の法意に反し無効である。」(昭和58.11.23 大阪地裁判決 平和運送事件)とされています。 退職の時期については、民法第627条第1項で「解約申し入れ後、2週間を経過することによって終了する。」と定められており、2週間経過によって退職の効力が発生します。従って、退職届は有効と考えられます。
 次に、このような形で退職された場合、退職金を不支給とすることが出来るかを考えてみます。
退職金規程の支給条項に、「退職金は、円満な手続により退職した者に支給する。会社の承認を受けずに一方的に退職した者には支給しない。」と記載されていれば、お尋ねの内容では支給しない取り扱いもあり得ます。但し、全額を不支給とするには無理があるでしょう。
 2週間経過で退職の効力は発生しますが、裏を返せば2週間は勤務義務があります。この勤務義務を怠っているということについて労働者に瑕疵があり、その期間分の労働力の不提供に対して損害賠償請求が可能で、退職金から差し引くという取り扱いもあり得ます。この点につき、判例に於いては是非があります。

ア)退職金を支払わないということは、労働基準法第16条・24条に反することを是認することになるため、円満退職者以外には退職金を支払わない旨の就業規則があったとしても、法律に反するものとして無効とする。
(昭和44.9.26 岡山地裁玉島支部判決 栗山製麦事件)

イ.退職を申し入れても2週間は勤務義務があるため、この義務を怠ることは労働者の義務違反であるから退職金不支給も正当。 (昭和57.1.29 大阪地裁判決 大宝タクシー事件)

 全額を不支給とするにはそれ相応の理由が必要で、過去の勤務の功績全てを否定して全額不支給とすることは困難でしょう。判例からみても、2週間の勤務義務違反、業務上の支障、急な退職の影響、引継ぎの有無等を考慮して判断する必要があります。少なくとも就業規則には、実態に即した不支給事由を明確に記載する必要はあります。

コンサルタントからのアドバイス

 1979年の労働省・労働基準法研究会報告で、次の記載があります。 「退職手当は退職を条件とする停止条件付き債権であり、これらの不支給事由はその一つの条件であり、予め定められた事由による不支給、減額は適法なものではないと解されている。しかし、その範囲については、労働基準法の諸規定やその精神に反せず、社会通念の許容する範囲でのみ是認されるものである。」 懲戒解雇や即時解雇事由についても、一定の制限を認めようとする考え方が一般的です。
< 社会保険労務士 PSR正会員 山下事務所 >

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